Useful Column

照明には単に“空間を明るくする”だけではなく、そこで過ごす時間そのものを豊かにするという側面があります。
照明計画を考えるには、「光の明るさと照らし方」・「器具自体のデザインによる雰囲気づくり」に加えて光の「色」について考えることも大切なポイントです。同じ部屋であっても光の色が変わるだけでガラリと印象が変わって見えます。
光の色が暮らしにどんな変化を与えるのか?その違いについてご紹介します。
◆ 光の色=色温度
”色温度(いろおんど)”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは光の色を数値で表したもののことです。
「ケルビン(K)」という単位で示され、2700Kとか5000Kのように表記します。
店頭で販売している電球の箱や、ネットの照明器具販売ページの商品説明などにも記載されているもので、数値が低いほど赤みのある光に数値が高くなるにつれて青みがかった光になっていきます。
住宅照明でよく使う光の色は、電球色(でんきゅうしょく)・温白色(おんぱくしょく)・昼白色(ちゅうはくしょく)の3種類で、それらを図に表すと以下ような感じになります。

では次に、この3つの光の色についてそれぞれの特徴やおススメの使い方をご説明します。
① 電球色 ― 落ち着きとあたたかさを感じるオレンジ系の光


色温度の低い、夕焼けのような赤みがかったオレンジ色の光が特徴です。
暖色系の光には脳の副交感神経を刺激し、体を「休息モード」へ切り替える効果があります。また、オレンジ系のやわらかな光は心理的な安心感を与えるので、くつろぎを目的とする空間には最適な光です。
あたたかい色味の光には特別感を演出したり、食事を美味しそうに見せる効果もあるので、ホテルやカフェ・レストランなどで落ち着いたリラックスできる雰囲気の演出に活用されています。
△ 苦手なポイント
・リラックス効果が高いので、仕事や勉強・家事などシャキッとしたい場面には不向き
・明るさを抑えた光なので全体的に暗く感じやすいことも
・あたたかい色味が魅力の光なので、白い紙や素材の色が正確に見えにくい
◎ おススメの使い方
リビング・ダイニング・和室・寝室など「家族がくつろぐ空間」・「ゆっくり食事を楽しむ場所」など
また、間接照明としてメインの照明と合わせて使うのも◎ 落ち着いた雰囲気のあるお部屋作りが叶います
木肌とも相性がいいので弊社の家の雰囲気にはもちろん、北欧風・ナチュラル系・和モダンなど色々なテイストとも合わせやすいのが嬉しいところです。
② 温白色 ― バランスの良い中間色、毎日に寄り添う白い光


電球色ほど赤みがなく、昼白色ほど青みがないちょうどいい白い光が特徴です。
やわらかさと自然な明るさのバランスが取れた光の色で、リラックス効果のあるオレンジがかった「電球色」と、集中力を高めるクリアな白さの「昼白色」の良いとこ取りをした光と言っても過言ではありません。
文字や物の色が自然な色として見えるのでキッチンにもおススメ。青みのあまりない白い光なので、長時間の読書や勉強・在宅ワークでも目が疲れにくいです。リラックスしたい時と・集中したい時のどちらにも偏らず、万能で快適な雰囲気を作れます。
△ 苦手なポイント
・電球色のような雰囲気のある空間づくりには向いていない
・昼白色のような爽やかさ・スッキリ感は弱い
・万能なちょうどいい色の光なので、「特徴が薄い」と感じることも
◎ おススメの使い方
キッチン・洗面脱衣室・書斎・リビング・ダイニング・寝室・子ども部屋など、万能な光なので正直どの部屋で使用しても間違いありません。「集中とリラックスのバランスが欲しい場所」には最適。
大多数の人にとって違和感の少ない色味で、昼と夜どちらの時間帯でも使いやすいです。
「どの色にしたらいいか迷う…」という方は、この温白色を選ぶと大きく外しません。
③ 昼白色 ― 太陽の光に一番近いさわやかな青みのある白い光


正午前後の太陽光に一番近い、少し青みを感じる白い光が特徴です。
活動的でクリアな光が物の輪郭や色をはっきりと見せてくれるので、作業性や集中力が必要な場所に適しています。
上記の2種類の光よりも、昼白色の光に多く含まれる青色成分(ブルーライト)には睡眠ホルモンであるメラトニンの生成を抑制する効果があります。これにより脳が一時的に覚醒状態になり眠気が出にくくなったり、作業効率・集中力が維持されやすい傾向があります。
△ 苦手なポイント
・電球色と比べると、リラックス感やあたたかみのある演出は難しい
・屋内で光を見ると青みを感じる場合があるため、寒々しい印象になることも
・夜間に照度を上げて使用すると、気分が冴えて寝つきが悪くなってしまうこともある
◎ おススメの使い方
キッチン・洗面脱衣室・書斎・学習室・子ども部屋など「手元をしっかり見たい場面」や「清潔感が欲しい場所」。リビング・ダイニングでは朝の時間帯に使うと気持ちがシャキッと切り替わり、1日のスタートを後押ししてくれます。
空間を明るく、清潔感のある印象にしたいときや、視認性を重視したい場所にぴったりの光です。
💡 ちなみに…
「ブルーライト」と聞くとあまり良いイメージがない方が多いかもしれませんが、自然の太陽光はもちろんLED照明にもブルーライトは含まれています。(色温度の低い赤い光の方が少なく、色温度の高い青い光の方が多く含まれています)
ブルーライトとは、可視光線(目に見える光)の中の紫外線に近いエネルギーの高い光のことで、この光は人の覚醒状態や体内時計に影響を与える有用な光なのです。

しかし、夜間に強いブルーライトを浴び続けたり、パソコン・スマートフォンを長時間使用することによって過剰にブルーライトを浴びてしまうと目の疲れを感じやすくなったり、睡眠ホルモンの分泌が抑制されることで寝つきが悪くなる・睡眠の質が低下するなどの影響が出ることがあります。

ブルーライトによる影響は光そのものではなく、光を浴びる時間帯や量によって大きく左右されます。日中はシャキッと活動するための光として、夜間は控えめに取り入れるなど、時間帯に応じた使い分けがポイントです。
照明の光には、それぞれに得意・不得意があります。
電球色は心と体を落ち着かせ、ホッとするくつろぎの時間を演出する光。
温白色はそのバランスの良さで、日常のどんなシーンにも寄り添う光。
昼白色は視認性が高く、シャキッと頑張りたい活動と集中の時間を応援する光。
どれか一つを選ばなければいけないわけではなく、生活の中ではすべての光が有用です。ポイントになるのは、その部屋でどのように過ごすのかを基準に選ぶこと。
例えば、リビングダイニングでも「朝や昼は活動的に、夜はくつろぎの場」と、時間帯で過ごし方が変わります。書斎や子ども部屋でも「集中する時間」と「落ち着いて過ごす時間」の両方が必要になります。
メインの照明と間接照明を組み合わせて使ったり、調光(明るい・暗いの調節ができる)や調色(光の色を切り替えられる)機能付きの器具を使用するのもおススメです◎
「光」は毎日何気なく使っているものだからこそ、少し意識するだけで暮らしの快適さが変わります。
あなたにとっての「ちょうどいい光」で、日々を生活を明るく照らしてみてください。